カジノ誘致の是非の決定は、今後長期にわたり横浜市の財政や産業・商業の方向性に大きく関わり、中心街の景観や既存の観光資源、市民生活のあり方を大きく変える可能性がある重大な政治選択です。これは、いくつもある横浜市の政策案件の中でも、最も広く市民の声に耳を傾けて決めるべき事案で、中長期の横浜市の市政方針を十分に討議し、検証を重ね、市民の合意を得てから決定するべきものです。
いま、これまでの林市長のIR誘致への慎重姿勢(少なくとも公にはそう発言していた)から、誘致積極推進の姿勢に性急に変えるのであれば、選挙による民意を問うていない本案件については、横浜市としての推奨理由とその検討・意思決定の経緯を明らかにし、改めて民意を広く正確に問うべく自ら必要な行動に出るのが、市民の代表である市長の当然の責務です。
しかし、それに対し林市長は「住民投票などの手段によって民意を問うつもりはない」と宣言するに至りました。
これには、当然のごとく「横浜市民への民意の確認も反映の努力もせずに、市長の権限で一方的にIR(カジノ)誘致を推し進めるつもりなのか?」という市民の拒絶の声が挙がります。
現職の神奈川県知事黒岩氏も横浜市によるIR誘致には「地元の意見を尊重する」といっていますが、実際には推進賛成の立場とされています。
また、林市長はIR誘致記者会見の答弁の中で、「4期目の次の市長選(2021年)には出馬する予定はない。」とも宣言しました。つまり、現在押し進めている政策は最終的な選挙民の審判を受けるつもりがないということです。
そうであれば、もはやその後の責任を全うできない立場から、IR誘致の是非に関わる政策判断は一切保留し、民意の付託を受けた次回市長選挙後の市政責任者に判断を委ねるか、先に否定した「住民投票」の実施に向けての行動を直ちに開始すべきです。
ところが、そのどちらも行う気配がありません。それどころか商工会議所や事業参加者などの直接の利害関係者である立場の意見のみを聞いて、一般の市民の意見をほとんど聞かないまま「市民の声を聞いていると判断した」と発言するなど、理性的かつ客観的な状況判断能力を疑うような挙動すら見受けられました。
よって、林市長は、民主主義により選任された首長として当然備わっているべき基本的な「民意を反映して判断する意思と能力がない」ことが明確になりました。これは、もはや市長としての資格と正しい責務遂行能力を疑ってかかるべき憂慮事態であると言えます。
こうなると、市民の民意を反映してカジノ是非の正しい判断をするよう横浜市政を導くためには、次回の選挙を待たずして、市民が直接行動を起こす必要があります。
そのために市民が取り得る具体的な手段としては、以下の2つの選択肢があります。
それらは、地方自治における「直接請求」と呼ばれているもので、
@住民投票条例の直接請求
と
A市長の解職請求(リコール)の直接請求
です。
次項で詳しく説明します。
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